介護福祉事業者必見!業務改善助成金で人材定着と賃上げを実現
人手不足が慢性化している介護福祉の現場では、「職員の賃上げをしたいが資金的に余裕がない」という声を多く聞きます。そのような経営者にとって強い味方となるのが、厚生労働省が実施する 「業務改善助成金」 です。
本記事では、令和7年度版の最新制度内容を踏まえ、介護福祉事業者がどのように活用できるのかを具体的に解説します。
業務改善助成金とは?
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が 事業場内最低賃金を30円以上引き上げる とともに、 生産性向上に資する設備投資や研修 を実施した場合に、その経費の一部を国が助成する制度です。
単なる賃上げ支援ではなく、「職員の処遇改善」と「業務効率化」の両立を目的として設計されているため、介護現場に特に適しています。
助成額と助成率
令和7年度の改正後は、助成額と助成率が次のように整理されています。
- 助成額(上限):最大600万円
- 助成率:
- 賃金引上げ後も事業場内最低賃金が1,000円未満 → 経費の 4/5
- 賃金引上げ後に1,000円以上 → 経費の 3/4
たとえば、介護施設で最低賃金を30円引き上げ、職員が使用する記録システムや自動排泄支援機器を導入した場合、その費用の大半が助成金でカバーされます。
対象となる取組例(介護福祉向け)
業務改善助成金で認められる経費は幅広く、介護業界では特に次のような投資が有効です。
- 介護記録ソフトやタブレットの導入
紙ベースの記録を電子化することで、1人あたりの記録時間が削減され、夜勤者の負担軽減にもつながります。 - 福祉用具・介護ロボットの導入
移乗支援機器や自動排泄処理装置は、腰痛対策と職員の業務効率化に直結します。 - 職員研修の実施
ICT機器の操作研修、感染症対策研修なども助成対象です。OJTだけでなく、外部講師を招いた体系的研修にも使えます。 - コンサルティング費用
業務プロセス改善や人事制度整備を専門家に依頼する費用も対象。特に人材定着を意識した制度設計は効果が高いです。
申請から支給までの流れ
- 事前準備
現状の賃金水準を確認し、対象となる事業場内最低賃金を把握します。 - 賃金引上げ計画の策定
最低30円以上の引上げ幅を決定し、対象労働者を明確化します。 - 計画申請
「事業場内最低賃金引上げ計画書」と「業務改善計画」を労働局に提出します。 - 取組実施
設備導入や研修などを計画通りに実施します。 - 実績報告・支給申請
引上げ後6か月間の賃金台帳や領収書などを添付し、支給申請を行います。
通常は計画提出から支給決定まで半年〜1年程度かかりますが、早めの準備がポイントです。
介護福祉事業での活用事例
実際に相談を受けた介護事業所の事例を紹介します。
- 事例1:特別養護老人ホーム(職員数40名)
夜勤職員の負担軽減を目的に、介護記録システムを導入。賃金を時給950円から990円に引き上げ。
→ 経費300万円のうち、約240万円が助成対象となり、実質負担は60万円で済みました。 - 事例2:小規模デイサービス(職員数8名)
送迎時の安全管理を強化するため、車載カメラと送迎管理アプリを導入。最低賃金を930円から970円に引き上げ。
→ 経費100万円のうち、約80万円が助成され、自己負担は20万円。
これらの事例では、単なる賃上げにとどまらず、業務効率化による残業削減や職員の定着率向上につながりました。
活用のメリットと注意点
- メリット
- 賃上げの財源を国がサポート
- 業務効率化と人材定着を同時に実現
- 介護ロボットやICT投資の導入チャンス
- 注意点
- 賃金引上げ後6か月間は継続して水準を維持する必要あり
- 助成対象外となる経費(汎用的なパソコンや消耗品など)もある
- 支給決定までに時間がかかるため、資金繰りに余裕を持った計画が必要
まとめ
介護福祉の現場にとって、職員の賃上げと業務効率化は経営の最重要課題です。
業務改善助成金を活用すれば、最大600万円まで国が費用をサポート してくれます。
制度を正しく理解し、現場の課題に合った投資を行うことで、介護事業の持続可能性は大きく高まります。
賃上げに悩む経営者の方は、ぜひ本制度の活用を検討してください。